会いに行ったらいつも通り縁側に座ってたんだけど なんだかいつもより嬉しそうにしてて 話掛けようとしたら 「篤君、高校は楽しい?」 なんて急に聞かれて「まぁ楽しいよ」なんて答えて 「そうなんだ、私は高校行かなかったからねぇ」 なんて普通に言うから何か話しにくくなったんだけど
「行かなくて良かったかなあとも思ったけどねぇ、君は覚えてないかもしれないけど色々母親らしくしてみたよ」
話してることは暗いのに妙に嬉しそうで
「十八歳ねぇ実感ないねぇ」
とか言っていつも以上に達観してるっていうか悟った感じで
話を切り出しにくい状況だったよ
そしたら急に
「君が生まれたとき、変な気分だったなぁ」
なんて言い出して変な間が出来たから
「俺は生まれて良かった?」なんて聞いちゃったんだ
すぐに後悔したけど
そんな質問は想定済みって言う感じで
「私から聞かなきゃいけないほど篤君の十八年間は軽くないはずだよ」
なんて、もう何も言えなかったね
「君が生きたことを後悔するのはあたしの所為じゃないし、君が人生を満喫してるなら私のおかげじゃない」
いつもは全然話さないのに今日は嫌に饒舌だったよ
「ほんと色々あったねぇ・・・」
なんて目をつぶりながら思い出してるみたいで何も言えなかった
てか何も言いたくなかった
「ほんとに大きくなったね、ダンクできるもんね、ホントに大きくなったよ」
そんないつもなら絶対言わないことしか言わないんだ
でも黙って聞いてようって思った
「篤君に話したいことはたくさんあるんだけどねぇ、何から話すべきか分かんないんだよねぇ」
なんかすごいニコニコしてて正直不気味だった
「実際私は君が生まれてきたときの事をほとんど覚えてない、ただ何か満足感だけがあった」
そこで間が出来たから言おうと思ったんだけど
俺には何も発言させないみたいな感じで
「やっぱり君がいてくれて良かった」
俺がそんな言葉を聞いて泣き出したら
「ちょっと屈んでくれるかな」
そうな風に言うもんだから屈んだら
「ヨシヨシ」
もう子供じゃないのに頭を撫でられて慰められた
「もう子供じゃないぜ」って言ったら
「お母さんにとっては君がいくつになろうとお母さんの子供です、異論は認めません」
もう何も言えそうに無かったけど必死で
「お母さんありがとう」って言ってやったら
またニヤニヤしながら
「うん、素直でよろしい」
って部屋に帰っちゃった
こんな感じ
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